お役立ち情報
給与アウトソーシング/代行で業務効率化を実現!

【徹底解説】2020年から2021年の年末調整の変更点(前編)
~2020年の大幅な変更点について、および2021年の電子化について~

【徹底解説】2020年から2021年の年末調整の変更点

年末調整における変更点

給与事務に携わる方なら、昨年2020年の税制改正をご記憶のはず。ただ、来たるべき2021年の年末調整の処理でも、いくつか変更が予定されています。直前に確認するより、今から内容を押さえておくのがベストです。

2020年、2021年の実務変更の概要

2020年と2021年の年末調整の変更度合いをざっくり説明すると、「大きな改変」と「軽微な変更」になります。

2020年の年末調整は算出基準の控除額の変更、さらに提出書類の様式までが変更されました。
本年2021年は国の「電子政府」推進により、税務関係の電子化が強化されます。

2020年の税制改正は年末調整の実務に大きく影響します。そのため次項に概要をまとめました。気になる方は見返せるよう、保存をおすすめします。
次に2020年の変更内容をお伝えしてから、2021年の変更点をご説明します。

2020年の年末調整を大きく変えた税制改正

2020年は税制改正により各種控除の変更が続出し、申告書の様式が変更になりました。

基礎控除額の変更

基礎控除額が一律38万円だったのが、所得に応じた金額に変更に。合計所得が2,400万円以下ならば基礎控除額は48万円、2,400万円から段階的に減額され、2,500万円以上は0円になります。

ポイントは、ほとんどの給与所得者の基礎控除額が48万円に引き上げになった点です。

扶養親族等の所得要件の見直し

基礎控除額の変更に伴って、扶養親族等の合計所得金額の要件も10万円ずつ引き上げになっています。

【主な変更】
同一生計配偶者 48万円以下
扶養親族 48万円以下
扶養親族 48万円以下
勤労学生 75万円以下
配偶者特別控除の対象者 48万円~133万円以下

給与所得控除額の引き下げと上限額の設定

給与所得者に適用される給与所得控除が「一律10万円の引き下げ」となりました。また、給与所得控除の上限額が従前の220万円から195万円に減額されました。つまり、給与所得控除の上限引き下げによって、850万円以上の給与所得者は実質増税になります。

ポイントは額は変われど、基礎控除額と給与所得控除額の処理に変わりはないこと、大半の給与所得者の納税額に変化は生じないことです。

所得金額調整控除の新設

給与所得控除額の上限引き下げにともない、給与所得が850万円以上の者に、条件つきで「所得金額調整控除」の緩和的な措置が適用されます。

具体的には以下のいずれかに該当する場合となります。

  • 23歳未満の扶養親族を有する者
  • 納税者本人が特別障害者
  • 同一生計配偶者や扶養親族が特別障害者
  • 所得金額調整控除が新設された趣旨として、就学中の子どもや要介護者を抱える
    家庭の負担に配慮したものと考えられます。

所得金額調整控除額の算出方法は以下になります。
所得金額調整控除額=(給与所得[1,000万円を上限]-850万円)×10%

寡婦(寡夫)控除の改正、「ひとり親控除」新設

2020年に寡婦控除(寡夫控除)が改正となり、所得の上限額(500万円)が設定されたほか、扶養親族の有無が問われなくなりました。また、過去の婚姻の有無を問わず、配偶者がおらず生計を同じくする子どもがいる場合の「ひとり親控除」を新設、「特別の寡婦(寡夫)」制度は廃止されました。

旧来の寡婦(寡夫)控除対象者は婚姻の有無を要件としていました。今後はひとり親で子どもを扶養していれば、かつて婚姻していたかどうかの申告は原則不要になります。

参考までに現行の「寡婦(寡夫)控除」、「ひとり親控除」の条件を整理します。

【寡婦(寡夫)控除(27万円)】

合計所得500万円以下
以下のいずれかに該当

・離婚後に婚姻せず、扶養親族有
・配偶者と死別後に婚姻せず/配偶者の生死不明

【ひとり親控除(35万円)】

合計所得500万円以下
事実婚をしていない
生計を同じくする子ども有(総所得が48万円以下)

年末調整の申告書類が新様式に

aの所得に応じた基礎控除額の変更、cの所得金額調整控除の新設により、年末調整の申告書類の様式が変更されることになりました。

従前は「給与所得者の配偶者控除等申告書」のみでしたが、2020年からは「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」として1枚にまとめられることになりました。

2021年の年末調整からの変更点

2021年の年末調整からの変更点

年末調整の電子化が進む

最後に、今年(2021年)の年末調整の変更点である「電子化推進」についてお伝えします。

電子化の事前申告制度の廃止

令和3年度(2021年4月)から税務署の事前承認がなくとも、年末調整申告書(源泉徴収関係書類)の電子提出ができるようになりました。それまでは税務署に行き承認申請書を提出して、翌々月にならないと電子化できませんでした。この改正により税務署に出向く手間と、承認までの待機期間(最大2か月間)が削減されました。

脱ハンコ化

政府の「脱ハンコ」推進により、政府の手続きの99%以上で押印廃止が決定、その影響で令和3年度(2021年4月)から年末調整書類の押印義務が廃止されました。正確には税務関係書類全般に、ごく一部の例外を除き、押印義務がなくなりました。

ただ、税務署によっては以前の押印欄のある書類が配布されているようです。いずれにしても、押印の有無で効力が変わることがないため、手元の旧様式の書類でも押印なしで提出できます。

次は年末調整の電子申告とアウトソーシングについて紹介します。

お問い合わせ

おサービス内容・お見積もりの詳細は、お気軽にご相談ください。

 給与計算アウトソーシング/代行に関する過去の記事

当社は個人情報の取扱いを適切に行う企業として、
プライバシーマークの使用を認められた認定事業者です。

プライバシーマーク